■2000/11/29(水)
[TALK0008] 散髪という行為
まさぞうは人生で髪が伸びなければと何回か思ったことがある。そうすれば髪を切りに出掛けるという非生産的行為にあてる時間を他のことにまわせる。高々1〜2時間というなかれ、苦痛な時間は1分でもごめんだ。散髪のいったい何が苦痛か?それは理容師、あるいは美容師の営業的おしゃべりだ。
「今日は休みなんですか?」「ええ・・。(貴重な休みを裂いて来てるつーの)」
「どこかいかれるんですか?」「ええ、ちょっと買い物にね。(余計なお世話だっつーの)」
「いいですね〜、休み多くて」「ええ、そうですね・・。(だったら普通のサラリーマンやれつーの!)」
このおしゃべりが楽しくていきつけの店に通う人もいるだろう。しかし、まさぞうには無駄な行為だ。美容師と会話したいなら飲み屋でやるべきだ。人間観察に長けている分、会話にも味がでる。
「この前来た客、笑っちゃうのよ。ほとんど坊主刈りな頭のくせに、『キムタクみたいに』だって。思わずウィッグにかけてあったカツラをのせてやろうかと思ったわ!」
美容院の中には、この客とのいつわりのコミュニケーションを強要しているところもある。店長が店員の口が止まっているのを見つけると、「No.3でお願いします」とかいって、それを合図に先ほどの無味乾燥とした会話が始まる。あとは軍隊のように一斉に「いらっしゃいませ」「少々お待ちください」「ありがとうございました」を連呼する床屋もある。どんな経営をやろうがオーナーの勝手だが、少なくともまさぞうはこんな店に近づきたくないぞ。
散髪で必要なコミュニケーションとはいうまでもなく、お客が気に入るヘア・スタイルに近づけるための有効な質問とアドバイスのことだ。あとは黙々と、ときにはかろやかに手を動かしていればいいのだ。
まさぞうのこんな要求に応える散髪屋を最近発見した。それはQB
HOUSEという散髪界のファーストフード店だ。メニューはカットのみ。シャンプーもセットも顔そりもマッサージも、もちろん営業的おしゃべりもない。1000円也のチケットを買って美容師に渡す。どうせスタイルを変えるつもりで来ていないのだから、「横と後ろを刈上げで。上は揃える程度。もみあげは揃えず自然に伸ばしておいてください」と言って終わり。あとは黙々とカットを仕上げる。切り終わったあとも効率化が徹底していて、整髪料もない。シャンプーの変わりになんと掃除機を直接頭にあてて、細かい切りくずを吸い取ってしまう。トータル時間10分。8:30ぐらいから開いている店舗もあり、朝のフレックスで用が済んでしまう。今日もそれでいった。
「なんだか工場みたい」と思った方。その通りである。カットだけに特化して、低料金、最短時間で済ます、まさにカッティング・ファクトリーである。好き嫌い賛否両論だろうが、男性サラリーマン(しかみたことねーな)に受けて、結構繁盛している。これがまさぞうの望んでいたスタイルだ。ああこれで営業的おしゃべりともおさらば、気分爽快である。
[INDEX] [まさぞうTOP]
|