[CLIE0027] Palmでの日本語入力 2000/09/21 日本語はコンピュータで扱う言語としては、かなりのロスがある。ひらがな、カタカナ、漢字を会わせて数千の文字があり、入力および表示でそれらを変換処理しなければならないからだ。英語であれば文字はたった26文字。世界統一論者ではないが、世の中全体がこのシンプルな文字を使っていたなら、コンピュータの世界は今よりももっと発展していただろう。 とはいうものの、まさぞうは日本人だ。思考を組み立てる文字としては、残念ながら日本語が先に出てくる。つーか、Oh、My God.英語はそんなに得意じゃないのだ。日本語しか使えない以上、PDAでも日本語の入力は避けて通れない。 まさぞうはパソコン暦がそれなりに長い。であるから、キーボード+ローマ字による入力なら思考を妨げることなく思いつきを定着することが可能だ。むしろ紙に手書きするよりも文章を組み立てるのが速いかもしれない。様々な入力方式があるが、いまだにキーボードが一番だと思っている。 Hewlett-PackardのHP200LXやJornada690のようにPDAの領域でもすばらしいキーボードを持つものがある。PDAではなくメール端末だが、パナソニックのKX-FE841なんてのもいい。 しかしキーボードは面積を使う。キーボードを持つ機種は軒並み筐体が大きくなりがちだ。そのため筐体の小さなPDAではペン入力が採用されている。 「ペン入力?べらんめえ、こちとら江戸っ子でぃ。手書きなら日本人は日本語を直接いれるのがあったりめーだろうが!」 まさぞうも最初はそう思っていた。だがらベストな選択肢はZAURUSしかないと思った。ペンによる日本語手書き入力を実用域にもっていったのはやはりZAURUSであろう。マス目の中に漢字を書くとそれがテキスト文字に定着する。ここに思考の中断はない。書いた文字がそのまま記録されるからだ。PIシリーズでこれを初めて見たとき、心底すげーと感じた。その後どんどん進化して今のMIシリーズに至り、抜群の認識率と変換スピードを持っている。 しかしここに落とし穴があった。いわゆるワープロ病と呼ばれるものだ。パソコンを使うようになってからめっきり紙に文字を書くというのをしなくなった。人間はやらないことは退化するものだ。漢字が書けなくなっているのだ。日本語手書き入力はその漢字の書き順までをも要求する。きちんと書けば機械側の認識率は高いのだが、使う方の人間がそれに対応できない。適当な書き順で書くので誤認識も多くなってくる。うーむ。 「日本語手書き入力は漢字筆記の練習になっていいんだーい。へへん。」と小僧の言い訳のようにいいきかせたが、ワープロ病は進行し、どんどんひどくなってきた。そこでの処方箋は、「アルファベットソフトキーボードによるローマ字入力」だった。これはこれでいいのだが、いまいちペン入力のメリットを感じない。画面に描かれているキーイメージをペン先で狙うのが思考を妨げてしまうのであった。本物のキーボードのように見ないで打てないのだ。何か他の手段はないのだろうか。 そんな想いの中、Palmと出会った。大衆がPalmを敬遠する要因の一つに独特なGraffiti文字があると思うのはまさぞう1人ではあるまい。書きなれたアルファベットではなく、何か特殊な書き順で入力する。「そんなの覚えられっこない」。普通はそう思う。CLIEを入手したときの不安要素の1つはそこだった。 今、思う。「虎穴にいらずんば虎子を得ず」。まさぞう風に訳すと「秋葉原にいかねばレアな電脳グッズは手に入らず(爆)」である。すべては食わず嫌いだった。 Graffiti、ナイスじゃないですか。何がナイスか?
いいじゃないですか、噛めば噛むほど味がでる。そしてさらに、
Graffitiの入力エリアで実に様々なことができるのであーる。特にパソコンでいうところのCTRL+C、CTRL+Vなどのショートカットが使えるのはすばらしい。ZAURUSだとメニューからコピーを選択しなければならないのでこれまた思考が止まる。Graffitiが持つこの、「同一の操作で様々なアクションができる」というのはパソコンの入力と同じ感覚だ。で、これが入力を加速してくれることは染み付いている。そしてさらにさらに、
のであーる。この中でもCLIE-MLで教えてもらった、POBOXなるPalmwareを入れるとさらに快適になる。こいつは何をしてくれるかというと、候補選択による入力支援である。これではわけわからないので、具体例を示そう。 例えば、「今日は雨です」と入力したいとする。普通なら、「kyouhaamedesu」と入力して変換キーを押す。ところがこのPOBOXをONにしておく(これもジェスチャーでできる!)と、
というように、文字は「ky」と「am」しか入力していないのに文の入力が済んでしまう。候補表示は使うものが先に表示されるように学習されるので、使い込めば込むほどどんどん入力が速くなっていくのだ。うーん、すばらしいいいいい。これを考案した増井俊之さん、あなたは天才だ! というように、Palmの入力環境は実に計算つくされた、かゆいところに手が届くものになっているのだ。そしてそして、CLIEにはさらに強力なウェポンである、「ジョグダイヤル」がついている。漢字の候補はこれでピッピと選択できる。 Grafittiの壁さえ越えれば、そこにはすばらしい日本語入力パラダイスが待っている。特にパソコンにドップリ使っている人種には最適だといいきってしまおう。 日本語入力の旅は完結か!?・・・しかし、気になる存在の周辺機器が2つ。ThumbTypeと折りたたみキーボードだ。これらについてはCLIE版がこの世に出現したときにまたコラムで取り上げることにしよう。頼みまっせ > Dear オカヤシステム & ターガス |